今から45年くらい前でしょうか。
よく母にお使いを頼まれて、佐賀市中央マーケットにある「ぎょうざ屋」さんへ餃子を買いに行った記憶を、今でも鮮明に覚えています。
家が近くだったので、呉服元町アーケードや中央マーケットは、子どもの私にとって庭のようなもの。小学生の私にお使いを頼んでも、母は安心だったのでしょう。
あのころの呉服元町アーケードは、どこもお店が賑やかで、人通りも多かったことを覚えています。
中央マーケットの東口から入って、まっすぐ。
「ぎょうざ屋」さんは、昔からそこにありました。
お店に入り、母が電話で注文していた餃子が焼き上がるのを、カウンターで待っていました。
ふと上に貼ってあるメニューを眺めていると、
「ライス 100円」
の文字が目に入りました。
ポケットには100円。
目の前から漂ってくる餃子の焼ける美味しそうな香りに、空腹をこらえきれなくなった私は、
「すみません、ライスください。」
とお願いしました。
すると、餃子を焼いていたお店のおじさんが、優しい笑顔で、
「ライスって、白ご飯よ?」
と教えてくれました。
人生で初めて、
「ライス=白ご飯」
だと知った瞬間でした。
あの優しい笑顔のおじさんは、もうお店にはいません。
でも、今も同じ場所から、あのころと変わらない餃子の美味しそうな香りが漂い、餃子の焼ける音が聞こえてきます。
今日は、久しぶりに中央マーケットにある「ぎょうざ屋」へ行ってきました。
あのころを少し懐かしみながら、書いてみたいと思います。

創業74年の老舗、佐賀のソウルフード
現在は、息子さんの加藤 均さんがお店を切り盛りしていらっしゃいます。
ぎょうざ屋の餃子は、皮が分厚くて、餡がとってもジューシーなのが特徴です。
餡にはしっかりと味がついていて、タレがなくても十分に主張してくる味。厚めの皮との相性もよく、ひと口食べると中から旨みが広がります。
気の合う仲間とお酒を酌み交わすときには、よく「ぎょうざ屋」の餃子を用意します。
50個、100個とたくさん注文すると、四角い桶に入れて持ってきてくれるので、本当に助かります。
まだ熱々の餃子は、ビールのあてには最高です。
ほかにもいろんな料理を並べているのですが、いつも餃子が大人気。
100個用意していても、あっという間になくなってしまいます。
そして今日は、久しぶりにお店で食べることにしました。
注文したのは、餃子定食の「8(はち):2(に)定食」。

焼き餃子が8個、水餃子が2個の定食です。

ほかにも「7(なな):3(さん)」や「5(ご):5(ご)」などがあり、その日の気分で焼き餃子と水餃子の割合を選ぶことができます。
そして、お店で食べる一番のメリットは、やっぱり「焼き立て」が食べられること。
出来上がったばかりの熱々の餃子を一口。
「熱い!」
でも、これこれ。
厚めの皮の中から、ジューシーな餡の旨みが広がります。
美味しい。
そして私にとっては、どこか懐かしい味なんです。

中央マーケットの歴史の謎
中央マーケットの歴史の謎
佐賀の中央マーケットには、餃子屋さんが2軒、それも目と鼻の先にあるというのは、知る人ぞ知るところではございます。
しかも、どちらも皮が厚く、ジューシーな餡が詰まった餃子という点で、よく似ています。
というか、ほぼ同じ餃子です。
もちろん、実際に食べ比べてみると、それぞれに味の特徴があり、それぞれの美味しさがあります。
でも、見た目は本当によく似ているんです。
その2軒の餃子屋さんが、今回ご紹介している「ぎょうざ屋」と「田中餃子屋」。
同じ中央マーケットの中にあるので、所在地も同じ「佐賀市呉服元町2-2」です。
そして、さらに興味深いことがあります。
創業した時期まで、どちらも同じ昭和27年(1952年)なのです。
同じ場所。
同じ年。
そして、よく似た餃子。

ここまで重なると、単なる偶然だったのか、それとも何か必然があったのか。
俄然、興味が湧いてきます。
昭和20年代、中央マーケットは戦後復興の中で生まれ、多くの店と人が集まる活気に満ちた場所だったといいます。
そんな時代の中央マーケットで生まれたのが、この二つの餃子屋というわけです。
それから70年以上。
かつて活気にあふれていたマーケットも時代とともに姿を変え、ひとつ、またひとつと店が閉まっていきました。
そんな中で、奇しくも、この二つの餃子屋は今も、目と鼻の先でお互いに営業を続けています。
同じ昭和27年に生まれ、同じような餃子を焼きながら、70年以上もの間、同じ中央マーケットで商いを続けてきた二つの店。
そこには何か、私たちの知らない中央マーケットの歴史のドラマがあるのではないか。
そんな想像をしてしまいたくなります。
中央マーケットの歴史と一緒に味わう餃子
ぎょうざ屋の餃子を初めて食べた人にとっては、ちょっと新しい感覚の餃子なのかもしれません。
分厚い皮に包まれた、ジューシーな餡が特徴的な餃子。

「こんな餃子、食べたの初めて。」
そんな感想を持つ人もいるのではないでしょうか。
でも実は、私が生まれるずっと前から、この中央マーケットで焼かれ続け、それこそ多くの人たちに愛されてきた歴史を持つ餃子なんですよね。
そう考えると、今こうやって食べている一皿の餃子にも、なんだか深い浪漫を感じます。
戦後の復興とともに歩んできた中央マーケット。
時代とともに街の姿が変わり、そこに並ぶお店も変わっていく中で、今も変わらず、同じ場所から餃子の焼ける音と美味しそうな香りが漂っています。
私が子どものころ、母に頼まれて餃子を買いに来ていた、あのころと同じように。
ぜひ、佐賀の中央マーケットを訪れる際には、「ぎょうざ屋」に立ち寄って、この餃子を味わってみてください。
そして、熱々の餃子を頬張りながら、この場所が歩んできた70年以上の歴史に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

| 店名 | ぎょうざ屋 |
| 住所 | 佐賀市呉服元町2-2 中央マーケット |
| 電話 | 0952295585 |
| 営業時間 | 11時30分~ |
| 定休日 | 火曜日・水曜日 |
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