佐賀市白山。
かつてはアーケード街として多くの人が行き交い、佐賀の中心市街地として賑わったこの地域も、時代とともにその姿を変えてきました。
現在は商業ビル「エスプラッツ」を中心に、新しいお店が誕生する一方、長く親しまれてきたお店が姿を消すことも。
今も変化を続けている街です。
そんな白山の一角に、創業から46年、変わらず暖簾を守り続けている人気のお店があります。
「京風茶房 おちょぼ」

エスプラッツの東側に店を構える、京風ラーメンと甘味のお店です。
お昼時になると店内は多くのお客さんで賑わい、そのお目当てのひとつが、あっさりとした味わいが人気の「京風らーめん」。
そして、もうひとつ忘れてはいけないのが、おちょぼ名物の「みたらしだんご」です。
街の景色が変わり、お店が入れ替わり、人の流れも変わっていく。
そんな変化を続ける白山の街で、46年にわたって愛され続けてきた「おちょぼ」。
今回は、世代を越えて佐賀の人たちに親しまれてきた名店、「京風茶房 おちょぼ」をご紹介します。
豚骨ラーメン文化の佐賀で愛され続ける京風ラーメン
おちょぼの看板メニューといえば、醤油ベースの「京風らーめん」です。
豚骨ラーメン文化が根強い佐賀。
白濁した豚骨スープに馴染みのある佐賀の人たちにとって、透き通った醤油ベースのラーメンは少し珍しい存在かもしれません。
そんな佐賀の街で、長年にわたって変わらず愛され続けてきたのが、おちょぼの京風らーめんです。
まず目を引くのが、透き通ったスープ。

ひと口飲んでみると、とてもあっさり。
ところが、その後からしっかりとしたコクと旨みが広がってきます。
「あっさりしているのに、ちゃんとラーメンを食べた満足感がある」
そんな味わいです。
スープが麺によく絡み、口に運ぶたびに醤油ベースのやさしい味わいと旨みが広がります。

そして、おちょぼの京風らーめんの楽しさが、その日の気分に合わせて選べる豊富なメニュー。
今回いただいたのは、「京風いろはらーめん」。
わかめ、コーン、そしてかいわれが彩りよくトッピングされています。
中でも印象的だったのが、かいわれと麺の組み合わせ。
かいわれのシャキッとした食感とほのかな辛みが、あっさりとしたスープや麺とよく合います。
豚骨ラーメンのような濃厚さとは、また違った美味しさ。
最後まで重たさを感じにくく、するすると食べられるのも京風らーめんの魅力です。
店内を見渡してみると、女性のお客さんの姿も多く見られます。
豚骨ラーメンの街・佐賀で、46年。
「おちょぼの京風らーめん」というひとつの味が、佐賀の人たちに受け入れられ、愛され続けてきた。
そのこと自体が、この一杯の魅力を物語っているのかもしれません。
実は甘味処。そのルーツは京都に
ここまで読むと、「おちょぼ=京風らーめんのお店」という印象を持つかもしれません。
でも、その店名は「京風茶房 おちょぼ」。
実はおちょぼ、もともとは甘味処として始まったお店なんです。
そのルーツは、京都にあります。
店主が京都の老舗甘味処「梅園」で修業し、その経験をもとに佐賀で始めたのがおちょぼ。
甘味処としてスタートし、その後、京風らーめんが人気を集め、現在ではお店を代表する看板メニューのひとつになったという歴史があります。
そして、おちょぼの甘味を語るうえで外せないのが、名物の「みたらしだんご」です。

運ばれてきたみたらしだんごは、ちょっと小ぶりで、どこか上品な佇まい。
ひと口頬張ってみると、その見た目の印象そのままに、やさしい甘さの餡が口いっぱいに広がります。
モチモチとした団子に、とろりと絡みつくみたらし餡。
しっかりと甘さはありながらも、決して重たすぎない。
上品な甘さと、モチモチとした団子の食感が絶妙です。
ラーメンを食べた後なのに、不思議ともう一本食べたくなる。
お昼を過ぎても、このみたらしだんごを目当てにお客さんが訪れるというのも、実際に食べてみると頷けます。
京風らーめんと、京都仕込みのみたらしだんご。
この一見意外な二つの名物こそが、「京風茶房 おちょぼ」らしさなのかもしれません。
佐賀でずっとそこにあって欲しい名店
お昼時、次々と訪れるお客さん。
注文が入り、厨房でラーメンを作る店主の西岡さんの姿を見ながら、ふと思ったことがあります。
この光景を、あと何年見ることができるんだろう。
創業から46年。
おちょぼが佐賀の街で46年という年月を重ねてきたように、西岡さんもまた、この店とともに長い時間を歩んでこられました。
長く続けるということは、それだけで簡単なことではありません。
ましてや、今も多くのお客さんが訪れる人気店を切り盛りし、一杯一杯ラーメンを作り続ける。
その姿を見ていると、「これからもずっと続けてください」と簡単に言うことさえ、少しためらってしまいます。
人は歳を重ねます。
街も変わります。
そして、どんなに愛されたお店にも、いつか暖簾を下ろす日がやってくるのかもしれません。
それは、わかっています。
でも――。
佐賀の良いお店がなくなっていくのは、やっぱり寂しい。
新しいお店が生まれることは嬉しいことです。
新しい味、新しい人、新しい文化が街に加わっていくことで、佐賀という街はこれからも変わり続けていくのでしょう。
だけど同じくらい、昔からそこにあるお店も大切にしたい。
「子どもの頃に食べた」
「学生の頃によく通った」
「久しぶりに帰ってきたら、まだあった」
そんな一人ひとりの記憶と一緒に存在しているお店は、単なる飲食店ではなく、その街の風景のひとつなのだと思います。
46年間、白山の街で暖簾を守り続けてきた「京風茶房 おちょぼ」。
透き通ったスープの京風らーめんを食べて、食後にみたらしだんごを頬張る。
そんな何気ない光景が、これからもこの場所にあり続けてほしい。
無理をしてほしいわけではありません。
それでも心のどこかで、やっぱり願ってしまいます。
「おちょぼには、いつまでもここにあってほしい」と。
佐賀には、残していきたい味があります。
残していきたいお店があります。
そして、残していきたい街の風景があります。
そんなお店に出会ったら、「いつか行こう」ではなく、今、足を運んでみる。
食べて、楽しんで、「美味しかった」と伝える。
私たちにできることは、案外そんな小さなことなのかもしれません。
これからも白山の街に、「おちょぼ」の暖簾が揺れていることを願いながら。
今回のコラムを閉じたいと思います。

お店情報
| 店名 | 京風茶房おちょぼ |
| 住所 | 佐賀県佐賀市白山2丁目8−2 |
| 電話 | 0952-26-9677 |
| 営業時間 | 11時00分~19時00分 |
| 定休日 | 火曜日・木曜日(祝日を除く) |
| 駐車場 | 5台あり |
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