今日は久しぶりに、佐賀市巨勢町にある「民芸茶屋 シャローム」へ。
お目当てはもちろん、「清涼麺(ちんちゃんめん)」。
お彼岸の中日。まだまだ暑さが残る中、お墓参りでひと汗かいたこともあって、自然と身体も胃袋も「清涼麺」を欲しがっておりましたので……。
お昼時でしたが、運よく駐車場も空いていて、そのまま店内へ。それほど混み合っておらず、すぐに席に着くことができました。
注文したのは【清涼麺セット】。もちろん大盛りです。

まだまだ食べ盛り(笑)の私には、大盛りくらいがちょうどいい。
清涼麺は、食が細い女性でもスルスルと最後まで食べられそうなボリュームなので、男性の方には大盛りがお薦めです。
セットにはサラダと佃煮、そしてかしわご飯がついていて、食べ応えも十分。
久しぶりの清涼麺をいただいていると、ふと店内に貼られた雑誌の切り抜きが目に入りました。
そこには――
「佐賀県で初めてのラーメンは、1952(昭和27)年に佐賀市唐人2丁目の〔北京千両〕で誕生した。」
と書かれていました。
「北京千両」かぁ……。懐かしいな。
清涼麺をすすりながら、私の記憶も少しずつ昔へ。
せっかくなので、ここから少しだけ、佐賀のラーメンの歴史へタイムスリップしてみましょう。
佐賀で初めてのラーメンは「北京千両」、そして「清涼麺誕生」
今から40年ほど前、私がまだ小学生だった頃。
佐賀市の呉服元町や白山、そして唐人辺りは、私にとって格好の遊び場でした。
呉服元町アーケードから白山アーケードにかけては、当時の小学生だった私がワクワクするようなお店がたくさんあり、街にも今とはまた違った賑わいがありました。
いつもこの界隈で遊んでいた私にとって、まさに庭のような場所でした。
今回紹介する「北京千両」は、現在の「民芸茶屋 シャローム」の前身です。
当時、北京千両の2代目店主・江藤さんの息子さんとは仲が良く、よく一緒に遊んでいました。北京千両でたまにごちそうになったこともあり、今となっては懐かしい思い出です。
そんな身近な存在だった「北京千両」が、実は佐賀で初めてラーメンを提供したお店だった――。
そのことを今回、店内に貼られていた記事を見て初めて知りました。
歴史を辿ると、初代店主で創業者の熊川荒雄さんが、1952(昭和27)年に佐賀市唐人2丁目に「北京千両」をオープン。
ここから、佐賀のラーメンの歴史が始まったわけです。
そして、その翌年。
まだエアコンなどなかった時代、暑い夏になると、どうしても熱いラーメンは売れなくなる。
「夏でも美味しく食べてもらえるものはないだろうか」
そこで考案されたのが、麺に青のりを練り込み、清涼感のあるのど越しでいただける「清涼麺(ちんちゃんめん)」でした。
佐賀で初めてラーメンを提供した「北京千両」から生まれた、夏のための一杯。
それから70年以上。
現在は「民芸茶屋 シャローム」と名前を変えましたが、2代目の江藤さんによってその味は受け継がれ、今も変わらず、美味しい「清涼麺」をいただくことができます。
のど越しを楽しむ「清涼麺」
「清涼麺」で私が一番好きなのは、なんといってもあの涼やかなのど越しです。

暑い夏にはもちろん嬉しいのですが、寒い冬に食べても、これがまた美味しい。ちなみに清涼麺は、季節限定ではなく一年を通して提供されています。
つけダレは甘めの味わいで、清涼麺の麺によく合います。
そこに「和からし」を少し溶かしていただくのが私のお気に入り。
甘めのつけダレの中にピリッとした辛さが加わり、鼻にツンと抜ける感じが、さらに食欲を掻き立てます。
大盛りにしたはずの麺が、スルスル、スルスルと口の中へ。
気がつけば、どんどん減っていきます。
刻みのりと一緒に。
紅ショウガと一緒に。
そして、メンマと一緒に。
合わせるものによって少しずつ味わいが変わるので、最後まで飽きることなく楽しめます。
中でも私が好きなのが「メンマ」。

清涼感のある麺に、ラーメン屋ならではのメンマが不思議なくらいよく合います。「北京千両」というラーメン屋から生まれた清涼麺だからこその組み合わせなのかもしれませんね。
全体的にとてもあっさりとしていて、まったくくどさがありません。
ボリュームもそれほど多くないので、食が細い方でも最後まで美味しく召し上がれると思います。実際、この日も「清涼麺セット」を注文される女性のお客さんを多く見かけました。
そして、清涼麺とともに楽しんでほしいのが「シャローム」の空間です。
店内はどこか懐かしさを感じる、レトロな喫茶店のような佇まい。
落ち着いた雰囲気の中で、ゆっくりと食事を楽しむことができます。
慌ただしく食べて、すぐに店を出るというよりも、少しだけ時間の流れがゆっくりになるような場所。
この独特の空間にも、店主・江藤さんのこだわりを感じることができます。
守り継がれた佐賀の味、北京千両からシャロームへ
シャロームは、北京千両から数えて、今年で創業74年を迎えます。
清涼麺も北京千両が開業した翌年に生まれたとされているので、実に73年もの歴史を持つことになります。
これほど長い年月を経た今も、多くの人たちに愛され続けている「清涼麺」。
その味が今も変わらず残っているのは、初代・熊川荒雄さんから受け継いだ味を、長年守り続けてこられた2代目・江藤さんの存在があってこそなのでしょう。
資料によると、江藤さんがお店を継がれたのは、初代の熊川さんがお亡くなりになった後。まだ18歳の時だったそうです。
18歳という若さで店を引き継ぎ、その味を守り続ける。
そこには、私たちには想像できないほどの苦労もあったのではないでしょうか。
北京千両から、シャロームへ。
熊川さんから、江藤さんへ。
そして「清涼麺」もまた、その味をしっかりと受け継ぎながら、今も多くの人たちの舌と胃袋を喜ばせています。
子どもの頃から身近にあった「北京千両」。
そして今、久しぶりにいただいた「清涼麺」。
こうしてその歴史を知ってから改めて味わってみると、いつもの一皿が、少し違って見えてきます。
佐賀には、こうした「昔から当たり前にある味」が、まだまだ残っています。
当たり前にあるからこそ、そのありがたさにはなかなか気づかないもの。
でも、その味を守り、受け継いできた人たちがいるからこそ、私たちは今も「昔と変わらない味」を楽しむことができるのでしょう。
この佐賀の味が、これから先もずっとあり続けてほしい。
そんなことをしみじみと感じた、今回のシャローム訪問でした。

| 店名 | 民芸茶屋シャローム |
| 住所 | 佐賀県佐賀市巨勢町牛島576-37 |
| 電話 | 0952-22-2522 |
| 営業時間 | 11時30分~20時30分 |
| 定休日 | 日曜日 |
| 駐車場 | お店の前にあり |
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