教わる姿勢が、学びの深さを決める

師範のひとり言

私たちは子どものころから、「学校へ行くのは当たり前。」だと思って育ってきました。

学校へ行けば、先生がお勉強を教えてくれるのが当たり前。

もちろん、それ自体が悪いことではありません。

ただ、その「当たり前」という感覚が強くなりすぎると、本来もっと深く学べるはずのものまで、自分自身で狭くしてしまっているように感じることがあります。

今回は、「教わる」ということの大切さと、それに向き合う上で必要な姿勢について、少し綴ってみようと思います。

いつものように、師範のただのひとり言として読んでいただけると幸いです。

誰に何を学ぶのか

ピカピカの1年生が新たに学校生活をスタートさせる春。

まだ幼い子ども達には、これから自分たちがこの学校で何を学び、それが自分にとってどんな意味を持つのかまでは、きっと分からないと思います。

だから自然と、「先生からお勉強を教わる。」ということが当たり前になっていきます。

もちろん、それは悪いことではありません。子ども達にとっては、それが最初の学びの形だからです。

ただ、本来何かを学ぶということは、「誰に何を学ぶのか」がとても大切なことだと思っています。

誰から学ぶのか。なぜその人から学ぶのか。何を身につけたいのか。

そういう意識があるだけで、同じことを教わっていても、学びの深さは大きく変わってきます。

教えてもらうことが当たり前になってしまうと、ただ目の前の先生から言われたことを受け取るだけになってしまうことがあります。

それが、本来もっと深く学べるものまで、十分に身につかない理由のひとつなのかもしれません。

「教わる」という姿勢を身に付ける

先生と呼ばれる指導者の多くは、それまで長い時間と労力を費やし、技術や知識を身につけてきています。

そして、その積み重ねてきたものを、指導という形で次の世代へ伝えていきます。

教わる側は、その技術や知識の背景にある時間や努力も含めて受け取ろうとする姿勢が大切なのだと思います。

教えてもらうことが当たり前という「受動的」な姿勢から、「何か一つでもしっかり学び取ろう」という「能動的」な姿勢に変わることができると、同じ指導を受けても身につくものの深さやレベルは大きく変わってきます。

学校でも、習い事でも、そして私たちの空手道場でも同じです。

子ども達に指導する中で大切なのは、技術や知識だけを教えることではありません。

まずは「学ぶ姿勢」を身につけること。そこをしっかり育てていくことが、とても重要なんです。

相互の敬意と礼節を重んじる

学校の教室に、なぜ入り口が二つあるのか。

以前、その理由についてこんな話を聞いたことがあります。

黒板側の入り口は先生が使い、生徒は後方の入り口を利用していたというものです。真相は分かりませんが、私はその話に深く納得しました。

そこには、教わる側が教える側に対して持つ「敬意と礼節」という考え方が感じられたからです。

教わる先生に対して、敬意と礼節を持つことは大切です。

しかし、それは一方通行であってはいけないと思っています。

教える先生にも、自分の指導を真摯に受け止めようとしてくれる生徒に対して、敬意と礼節を持つことが必要です。

この相互の「敬意と礼節」こそが、お互いを大きく成長させ、教える側と教わる側を強く繋ぐものなのだと思います。

空手道では、稽古の始まりに座礼を行います。

「正面に礼。」
「先生に礼。」
「お互いに礼。」

この「お互いに礼。」には、当然指導者も含まれています。

そこには、相手を敬い、互いを大切にするという意味が込められているのです。

さいごに

子ども達が、しっかりと学びを深めていく上で、お勉強を習わせたり、習い事をさせたりすることは、成長にとってとても良い機会になると思います。

ただ、ただ習わせるだけでは、それは「機会」で終わってしまうこともあります。

大切なのは、「誰に何を教わっているのか。」をしっかり伝え、それが決して当たり前ではないということを理解させることです。

学校の先生。
塾の先生。
習い事の先生。
道場の先生。

どんな先生であっても、その人が時間をかけて積み上げてきたものを、自分に伝えてくれている。

教わる以上、そこには敬意と礼節を持つこと。

その姿勢こそが、子ども達のこれから先の大きな学びと成長に繋がっていくのではないかと、私は心から思っています。

古賀 大之

空手道師範として17年間、武道を通じて青少年の育成に携わってきました。
その経験をもとに、学校教育では得られない新しい学びの形を探求しています。
武道で培った教育の知恵を活かし、子どもたちの未来を切り拓くことが私のライフワークです。

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