小さいころから、すぐそばにあって。
今でも口にすると、自然と懐かしさがよみがえる味。
いろんな思い出が詰まっていて、
大人になった今でも、ふと食べたくなる——
そんな「心に住んでいる味」は、きっと誰にでもあるのではないでしょうか。
今日ご紹介するのは、
佐賀市高木町の路地に、昔から変わらず佇む西洋菓子店
北村堂。
佐賀で暮らす人なら、一度は名前を聞いたことがあるであろう銘菓「サブリナ」。
私が小さいころから同じ場所にあり、
今もなお昭和の空気をそのまま残しているような——
まるで時間が止まったかのような、変わらない物語です。
佐賀で60年の歴史とともに生きてきた銘菓「サブリナ」
北村堂は、1963年創業の老舗洋菓子店。
佐賀市高木町の路地に、今も昔と変わらぬ佇まいで、静かにそこにあります。

一歩店に足を踏み入れると、
まるで時間を巻き戻したかのような錯覚を覚えるほど、昭和の空気が色濃く残っています。
懐かしさ、と言うよりも、どこかホッとする空間。
それはきっと、長い時間をかけて積み重ねられてきた「日常」が、そのまま残っているからなのでしょう。
店内に入ると、いつも変わらぬ笑顔で迎えてくれるお父さんとお母さん。
昔からこのお店を知っている私にとって、その姿を見るだけで心が和らぐ、そんな存在です。
お店の中には、お菓子屋さんならではの甘い香りが漂い、
それだけで自然と幸せな気分になります。

現在は、店舗だけでの製造が追いつかないため、
息子さんが北川副の店舗でも製造を担っているそうです。
それでも、作れる数には限りがあります。
看板商品の「サブリナ」は、今も昔も変わらない味。
いつ食べても安心できる、心にすっと馴染む味を、今も守り続けています。
北村堂は、大通りに面した目立つ場所にあるお店ではありません。
むしろ、少し奥まった路地に、ひっそりと佇むお店です。
大々的な宣伝をしているわけでもありません。
それでも、毎日のように
「サブリナ」を求めて多くのお客さんが訪れます。
それが、このお店が積み重ねてきた時間の証なのだと思います。
今回、お母さんにお話を伺いました。
「サブリナも、ほかのお菓子も、全部手作りなんです。
たくさん作れるわけじゃありませんし、
私たち夫婦も、もう高齢ですからね。
今は息子たちが手伝ってくれていますけど、
正直、あまりたくさん来られても間に合わないんです。」
家族で切り盛りされてきた、小さなお菓子屋さん。
そこには、このお店を大切に思い、長く通い続けているファンの存在があります。
だからこそ、
「今の北村堂を、今のまま大事にすること」
その意味を、改めて考えさせられました。
実は、この記事を書くことを少し躊躇しました。
この記事をきっかけに、多くの人が押し寄せてしまったら、
それはかえって迷惑になるのではないか。
そんな思いが頭をよぎったからです。
それでも、
今の北村堂の状況を知ってもらうことで、
このお店を大切に思う人たちが、
少しだけ距離感を考えながら、そっと通ってくれるかもしれない。
そう思い、この記事を書くことにしました。
これからも、
いつもの場所に、
いつもの甘い香りが、
変わらず漂い続けてほしい。
そんな願いを込めて。
北村堂のお菓子たち
サブリナ

北村堂を代表するお菓子「サブリナ」。
佐賀の人にとっては、もはや説明のいらない存在かもしれません。
自分用に、そして贈答用にと、
毎日のように多くのお客さんが買い求める、北村堂の看板商品です。
サブリナは、一口食べると、
「あぁ、この味だ。」
そう思わず声が漏れてしまう、不思議な力を持っています。
いつ食べても変わらない、
懐かしさと安心感。
しっとりとした食感と、ほどよい甘さが、
昼下がりの少し疲れた頭を、そっと目覚めさせてくれるようです。
派手さはありません。
流行を追ったお菓子でもありません。
それでも、ふとした瞬間に、無性に食べたくなる。
そんな存在です。
甘すぎず、重すぎず、
どこかやさしく、どこか懐かしい。
子どもの頃に感じた「特別なおやつ」の記憶を、
そのまま今に連れてきたような味わいです。
サブリナは、
記念日を華やかに彩る主役というよりも、
日常の中で、そっと寄り添ってくれるお菓子。
頑張った日のご褒美に。
少し疲れた日の帰り道に。
誰かに「ありがとう」を伝えたいときに。
気がつくと、
また食べたくなっている——
それが、60年という時間を生き抜いてきた理由なのかもしれません。
ソフトケーキ

北村堂はサブリナだけでなく、ほかのお菓子も本当においしい。
その中でも、私のお気に入りがこのソフトケーキです。
ココナッツとオレンジ、二つの味が楽しめるこのケーキは、
ひと口でわかるほど、しっとりとやさしい食感が特徴。
コーヒーと一緒にいただくと、
甘さと苦さが心地よく重なり、思わず顔がほころびます。
柔らかすぎず、硬すぎず。
その絶妙な食感こそが、「ソフトケーキ」という名前の理由なのかもしれません。
チュイール

チュイールも、北村堂で人気の焼き菓子のひとつです。
アーモンドを使ったこのクッキーは、
サクッと軽い食感が心地よく、つい手が伸びてしまいます。
仕事の合間に、勉強のひと休みに。
気軽につまめるお菓子ですが、
気づけば何枚も食べてしまう——
そんな“うれしい注意”が必要かもしれません。
レモンサブレ

レモンサブレは、レモンの形をした、見た目も可愛らしいクッキーです。
……とはいえ、
実はレモンの味や香りが強くするわけではありません。
でも、ちゃんと「レモンサブレ」。
思わず笑ってしまう、そんな親しみやすさも魅力のひとつです。
サクサクとした食感と、ほんのりやさしい甘さで、
子どもたちにも大人気。
一枚が大きめなので、子どものおやつにもぴったりのお菓子です。
お買い求めの方に
北村堂は、
お店を切り盛りされているご夫婦がご高齢ということもあり、
営業時間中でも、お店をお休みされている時間帯があります。
今でも、休業時間中に訪れ、
少し残念そうに帰られるお客さんの姿を見かけることがあります。
これから北村堂へお買い物に行かれる方は、
ぜひ、以下の時間帯にご注意ください。
北村堂は、日曜日が定休日となっており、
それ以外の日は祝祭日でも営業されています。
ただし、毎日12時から14時までは休業時間となっており、
この時間帯はお買い物ができません。
また、毎週水曜日は午前中がお休みとなっています。
水曜日に来店される場合は、14時以降に訪ねられることをおすすめします。
ご夫婦は、電話での問い合わせ対応も負担になると話されていました。
できるだけお電話でのお問い合わせは控え、
直接お店に足を運んでいただけるとありがたい、とのことです。
北村堂は、今もご夫婦がお元気でお店に立たれています。
けれど、この場所に、このお店が
これからも当たり前のようにあり続けるかどうかは、誰にもわかりません。
だからこそ、
この佐賀の街に長く寄り添ってきた、
北村堂のほんのり甘く、やさしいお菓子たちを、
味わえる日々が、できるだけ長く続くことを——
心から願っています。
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