学校に行けない子どもたちへ――心を整える“はなれ”の学び場『アネックス』

教育・子育て

昨今、ますます増えている“不登校”。

私が子どものころは、1クラス40名の生徒がいても、学校に来ていない子は1人いるかいないかでした。

ところが今、クラス人数は減っているのに、「学校に来られない子」はどのクラスにも1〜2人いる時代になっています。

なぜ、不登校の子どもたちは増えているのでしょうか。

学校に行けていない子は「ダメ」なのでしょうか?

もしかすると、

“学校に行けていないこと”が本来は自然で、

“当たり前のように学校に通い続けること”のほうが、今の時代には合っていないのかもしれません。

戦前から続く日本の学校システムそのものが、すでに現代の子どもたちにフィットしていない可能性だってあります。

今回は、そんなまだまだネガティブに捉えられがちな“不登校”というテーマに向き合い、

子どもたちの心の成長に寄り添う挑戦を始めた——

一人の公認心理師・西村真由さん にスポットを当ててお届けします。

不登校の子ども達を取り巻く環境

私が子どもの頃は、学校に行かない子どものことを「登校拒否」と呼んでいました。

学校に行くことを“拒む”——そんなニュアンスです。

本来は「学校に行くことが当たり前」であり、それを拒否するのは悪いこと。

そんな価値観が教育現場にも家庭にも根づいていたため、親や先生に無理やり学校へ連れて行かれるケースも多くありました。

そうした背景もあり、当時は今よりも学校に来ていない子が少なかったのかもしれません。

「学校に行かない=悪」 という図式が、社会の中で強く成立していたのです。

しかし現在、「登校拒否」という言葉は「不登校」と呼ばれるようになり、

そこには“悪い”というニュアンスはほとんどなくなりました。

「そんなにつらいなら、無理に行かなくていいんだよ」

「頑張りすぎなくて大丈夫だよ」

子どもが抱える心の苦しみに寄り添い、無理を強いない対応へと変化してきました。

■ 二つの苦しみ——昔と今で形は違う

昔は、行きたくなくても「学校へ行く苦しさ」に耐えなければなりませんでした。

けれど教育課程を修了してしまえば、その苦しみはひとまず終わりました。

一方、今は「無理に行かなくていい」という選択肢が生まれたことで、

“学校に行かなくていい苦しさ”からは解放されます。

しかしその後には、

「みんなと同じように学校に行けない自分」

と向き合い続けるという、新たな心の苦しみが生まれます。

そしてその苦しみは、昔のように学校を卒業すれば終わる、という単純なものではなく、

自己肯定感や将来への不安など、長期的に子どもの心に影を落とすこともあります。

これこそが、

現代の不登校の子どもたちを取り巻く環境

なのです。

子ども達に寄り添う挑戦

今回取材させていただいた 西村 真由さん は、公認心理師として長年子どもたちの心に寄り添ってこられた専門家です。

これまで約17年間、心療内科で子どもたちのケアに携わり、医療の現場から多くの「心の声」に触れてこられました。

その中で真由さんが強く感じたのが、

年々増えていく小児の受診者数と、圧倒的に不足している児童精神科医の存在 でした。

「たとえばお子さんが不登校になって、“病院で一度診てもらいたい”と思っても、新規受診に1年、長いところでは1年半待ちなんです。」

真由さんはそう語ります。

さらに、医療の現場にはもう一つの課題があります。

“病名”が付かないと治療が始められない——

つまり、病気として診断できる段階まで行かないと、子どもはサポートを受けられないのです。

真由さんは、長年医療に携わる中でこう考えるようになりました。

「病院で診断される前の段階で、もっと寄り添える場所が必要なのでは?」

そしてその想いが大きな決断へとつながります。

これまで病院で積み上げてきた経験を生かし、

病院にかかる前の子どもたちを支えられる場所をつくる ために独立を決意されました。

現在、真由さんは

・小中学校のスクールカウンセラー

・複数企業の心理カウンセラー(顧問契約)

として幅広く活動し、子どもから大人まで多方面で心のサポートを続けています。

そして——

2025年11月。

新たな一歩として、学校へ行けない・行きづらい子どもたちのための“寄り添いの塾”、

【アネックス(Annex)】 をスタートされました。

“Annex”は英語で「はなれ(離れ)」という意味。

真由さんは、これを 「母屋とは別にそっと存在する、もう一つの安心できる居場所」 という想いを込めて名付けられました。

学校という「母屋」から少し離れたところに、

その子が“自分のままでいていい場所”をつくりたい。

アネックスは、そんな願いから生まれた子どもたちの新しい居場所なのです。

子ども達の心を育てる「塾」アネックス

取材を進める中で、真由さんが新たに始められた「アネックス」という“塾”の話を伺いながら、私は当初、つい一般的な学習塾を想像していました。

学校に行けない子どもたちの学習面をサポートする場所なのだろう、と。

しかしお話を聞き進めていくうちに、アネックスはそうした“勉強を教えるための塾”ではなく、

「これからの人生をどう生きていくか」を学ぶ場所

なのだとはっきりと分かってきました。

■ 真由さんの原点にある “救ってくれた先生” の存在

真由さんには、幼い頃に心を救ってくれた“師”ともよべる先生がいたといいます。

とある塾の社会の先生で、授業の内容よりも、いつも人生について教えてくれる方だったそうです。

「その先生のおかげで、私は生き方を学びました。それが今の私の大きな力になっているんです。」

真由さんは、優しい微笑みでそう語ってくれました。

■ 「心」を整え、「生きる力」を育てる塾

アネックスでは、まずは一人ひとりと1対1の関係からスタートします。

その子に合ったオーダーメイドのカリキュラムを組み、必要に応じて心理検査やカウンセリングを行いながら、

心を整え、認知やコミュニケーションの力を育てていく 取り組みを中心に行います。

学力を上げるための一般的な学習塾とは、その目的もアプローチもまったく異なります。

ここは、

“心の教科書”を学ぶ場所

と言ったほうが近いのかもしれません。

■ 思春期の子どもたちに寄り添いたいという想い

対象を中学生から高校生にした理由について真由さんは、

「心が最も揺れやすい時期に、しっかりケアできる場所でありたいから」と話します。

そしてこう続けます。

「ここに通ってくれる子たちが、将来、自分自身のことを自分で整えられる“自己解決力”を身につけてくれたら嬉しいんです。」

■ 学校でも病院でもない、もう一つの “はなれ”

近年、不登校の居場所としてフリースクールも増えていますが、真由さんは課題も感じています。

集団で過ごすという形は、心が疲れている子どもにとっては負担が大きい場合があり、

“根本的な回復”に繋がりにくいこともある、と言います。

だからこそアネックスは、

学校でも、病院でも、集団の箱ものでもない“はなれ(Annex)”のような場所。

母屋(学校)から距離を置きつつも、安心して自分でいられる、もう一つの居場所。

人生に迷いやすい思春期に、そっと伴走しながら寄り添うための空間なのです。

まとめ

日本の教育システムが大きく変わらない限り、これからも「不登校」の子どもたちは増え続けるのかもしれません。

そして彼らは決して「異常」なのではなく、むしろ、今の不自然な教育環境に対して“正常な感覚”で反応している子どもたちなのではないでしょうか。

そんな中で、苦しさを抱える子どもたちには、

「逃げる」という選択も自分を守るための大切な力 であることを伝える必要があります。

しかし同時に、その後に必ず訪れる新しい苦しみ——

「みんなと同じようにできない自分」への葛藤から彼らを守る体制を整えることも欠かせないのだと、今回の取材で深く感じました。

今回お話を伺った西村真由さんは、まさにその“守る役割”を担い、

今の「なんとかせんといかん」社会の課題に真っ直ぐ向き合い、一石を投じている先生だと感じています。

この記事を読んでくださった皆さまにも、

この社会課題に少しでも共感していただき、

子どもたちにとって生きやすく、学びやすい社会 を一緒に考えるきっかけになれたら、こんなに嬉しいことはありません。

名 前 アネックス 
代 表 西村 真由 
Masayoshi Nishimura
電 話 070-9172-2720
URLhttps://c-nishimura.com/

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