師範のひとり言Vol.1 成長のスピードは人それぞれ

師範のひとり言

成長のスピードは人それぞれ

空手道の指導をはじめて17年。たくさんの子どもたちの成長を見てきましたが、一方で道半ばで辞めてしまう子も少なくありません。

辞めていく子たちの多くは、自分の上達を実感できなかったり、思うように結果が出なかったりしたからです。けれど、もしかしたらその少し先に、本人が思い描く成長が待っていたのかもしれません。

自分自身の「成長のスピード」を知ることができれば、焦る必要はなかったはずです。

私が指導の中で強く感じるのは、「人にはそれぞれ違う成長のスピードがある」ということ。
同じ小学3年生でも、算数が得意で5年生のように落ち着いた子もいれば、1年生のようにまだまだ手がかかる子もいる。背の高さや体力、走る速さにも1〜3年分ほどの差があります。けれど大人になる頃には、その差はほとんど縮まっていくのです。

教育の課題と現実

日本の教育は「同じ学年だから一緒に進級する」という仕組みです。
たとえ小学3年生で算数につまずいても、理解できるようになる前に次の学年へ進まなければならず、結果として「苦手」が積み重なってしまいます。

もし教育に携わる人たちが、一人ひとりの成長のスピードをきちんと見極められれば、その子に合った授業のやり方が見つかるのかもしれません。

けれど現実には、日本では同じ年度に生まれた子どもたちが同じ教室で同じペースの授業を受けています。個々の成長スピードは違うのに、それに合わせる仕組みはほとんどないのです。

武道だからできる学び

その点、武道教育には学年という区切りがありません。
幼児から大人まで同じ場で学び合い、それぞれのペースで一歩ずつ進むことができます。目安はあっても、「何年生までにここまでできなければ」という縛りはないのです。

だからこそ、武道は子どもたちの成長のスピードに寄り添える教育の形だと私は思っています。
「何年生までに、ここまで学びなさい」ではなく、「今のあなたができることを身につけていけばいい」。それが武道だからこそ可能な教育です。

必要なのは、「自分の足で歩き始めるとき、何を身につけ、どう人生を歩んでいくか」を選べる学びの環境。子どもに合わせた教育スタイルこそ、これからの日本に必要だと強く感じています。

まとめ

どうしても日本の教育の中にいると、「うちの子は他の子より遅れているのでは」と焦りを感じてしまうことがあります。もちろん、早い時期にさまざまなことを身につけるのは大切です。

けれど、それ以上に大切なのは、その子に合ったペースを尊重すること。成長のスピードに合わせた教育は、実はとても効率的な学びの方法なのかもしれません。

そして、お子様の成長のスピードをじっくり観察し、その子に合った教育スタイルをつくってあげられるのは、学校ではなく、ご家庭だからこそできることなのだと思います。

古賀 大之

空手道師範として17年間、武道を通じて青少年の育成に携わってきました。
その経験をもとに、学校教育では得られない新しい学びの形を探求しています。
武道で培った教育の知恵を活かし、子どもたちの未来を切り拓くことが私のライフワークです。

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