「考える子が伸びていく」古賀道場が大切にしている“成長の仕組み”

師範のひとり言

古賀道場での稽古のひと場面。

古賀道場は、月曜日から土曜日まで、毎日道場を開いています。
そのため、毎日同じメンバーが揃うわけではなく、日ごとに顔ぶれはさまざまです。
稽古が始まる前には、まず整列して挨拶をします。

道場での整列のルールは、ただ二つ。

  • 黒帯が一番前
  • 白帯が一番後ろ

それだけです。

あとは、その日のメンバーや人数によって、
列が3列になる日もあれば6列になる日もあり、
一列に3人しか並ばないこともあれば、10人以上になることもあります。

その場その場の状況を、子どもたち自身が判断し、
自分たちで列をつくっていきます。


人は、考えることで成長していくものです。

答えを与えられる教育と、
答えを求めて自分で考える教育。

どちらが、子どもたちを大きく成長させると思いますか?

今日は、この「考えることで成長する」というテーマで、
子どもたちの姿について、ひとり言を呟いてみようと思います。

考えることで育つこと

学校の授業は、「答えを教える」ことが中心です。
まず多くの答えをインプットし、テストでアウトプットさせ、
その出来を確認する——それが学校での「勉強」と呼ばれるものです。

そこには、ほとんど「頭をひねる」という過程がありません。


前述した古賀道場の整列ルールは、とてもシンプルです。
「黒帯が一番前」「白帯が一番後ろ」——ただそれだけ。

しかし、この“シンプルさ”が、子どもたちに考える機会を与えます。

学校のように班が決まっているわけでもなく、
「あなたはここ」と指定されることもありません。
結果、子どもたちは周りを見て状況を判断し、
自分が立つべき場所を自分で探し出す必要があります。

それでも、子どもたちは驚くほどスムーズに列を整えていきます。
しかも、時間をかけることなく、ごく自然に。

そこには「答え」も「正解」もありません。
ただ二つのルールがあるだけ。
そのルールに沿って列がつくられていれば、それが“正解”となります。

最初から答えが用意されていないからこそ、
子どもたちは「どうすればいいか」を考え始めます。
つまり、自然と「頭をひねる」ことをしているのです。


昔の私たちは、放課後がまさに“学び場”でした。

学校が終わると、宿題も忘れて、みんなが集まる場所へ走って行きました。
ゲーム機などない時代です。遊び道具もほとんどありません。
それでも、駄菓子屋で空腹を満たしたあと、
「今日は何をして遊ぶ?」とその場でアイデアをひねり出す。

何もないところから遊びを生み出す──
気づけば日が暮れるまで夢中になって遊んでいました。

あの頃、私たちの頭は実によく働いていたのだと思います。

放課後は、私たちがもっとも成長できた、
唯一の「頭をひねる時間」だったのかもしれません。

何故?だから?どうして?

人は、疑問を持ったときにはじめて頭を使い始めます。

何故?
だから?
どうして?

たったこれだけの短い言葉が、
頭をフル回転させるスイッチになります。


空手道の技術には、必ず理にかなった理由が存在します。
これを 「理合い」 といいます。

理屈が通っているからこそ、動きに納得がいく。
しかし、その理屈が間違っていたり、理解できていないと、
正しい動きからどんどん離れていってしまいます。

この「理」を求め続ける——
それが武道であり、空手道の本質です。

そして、この「理」を自分の中に落とし込むためには、
常に自分自身へ問いかける必要があります。

何故こうなるのか?
だからこうなるのか?
どうしてこうなるのか?

この問いを繰り返すことによって、
技は深まり、身体の使い方は洗練され、
心はさらに強く、静かに磨かれていきます。


古賀道場では、「考える空手」 を大切にしています。
答えをそのまま教えることはしません。

……というよりも、
そもそも指導している私自身も、まだまだ答えにたどり着いていない。
だから「これが絶対の正解だ」とは言えないのです。

私はよく断言します。

「古賀道場では、空手を教えません。」

「え?」と思われる方もいるかもしれませんが、
本当に“何も教えない”わけではありません。

古賀道場は——
指導者である私も、子どもたちと同じように問い続け、
共に考え、共に成長し続ける研鑽の場
なのです。

考える癖をつける

古賀道場では、ここで稽古に励む子どもたちが、
それぞれの目標に向かって日々取り組んでいます。

その目標に到達するために何をすべきか——
子どもたちは自然と頭を使いながら稽古しています。
時には、答えを欲しがることもありますが、
そこに“絶対の正解”はありません。

あるのは、正解に近づくために、自分で考え、工夫し、挑戦し続けること。


近年、健やかに成長すべき時期の子どもたちが、
「頭を使う機会」を失っていると感じることがあります。

たとえば、ゲーム機。
ゲームは、誰もができるように“最初から完成された世界”が用意されています。
答えがあるので、続けていれば誰でもクリアできる。
その結果、時間とともに飽きてしまうことが多いのです。

私たちが子どもの頃に夢中で遊んでいた放課後は、
決まった答えなどありませんでした。
空き地や公園に集まり、遊び道具がなくても頭をひねって遊びをつくり出し、
気づけば日が暮れるまで時間を忘れて遊んでいました。


今の子どもたちは、
学校から帰るとゲームをしたり、
習い事や塾で時間が埋まっていたり、
昔のように放課後を自由に使う子をあまり見なくなりました。

だから今、
子どもたちには“考える時間”が必要だと強く思うのです。


古賀道場では、
子どもたちがいつも頭をフル回転させながら稽古に向き合っています。
だからこそ、成長の姿がはっきりと見えてきます。

子どもたちには、
成長期の今のうちに“考える癖”を身につけさせることがとても大切。

古賀道場は、その力を育む場所でありたいと心から思っています。

まとめ

最近よく耳にするのが、
親御さんが、子どもたちから“機会”を奪ってしまっているという話です。

怪我をする機会
問題に直面する機会
自ら考える機会

どれも子どもの“リスク”と捉え、
最初から排除してしまう傾向があると言われています。

けれど——

怪我をする経験があるから、
次にどうすれば大きな怪我を防げるのか、自分で考えるようになります。

問題に直面する経験があるから、
課題を解決する力が育ちます。

そして何より、
自ら考えることで、今回のテーマである 大きな成長 が望めるのです。


昔から「子どもは伸び伸び育てたほうがいい」と言われます。
極端な言い方をすれば、
少し“ほったらかす”くらいが、子どもは自分で考え、勝手に育っていくということです。

もし、お子様をのびのびと大きく育てたいのなら——

危険だからといって機会を奪わず、
正解をすぐに与えてしまわず、
“考える機会”をそっと置いてあげること。

それこそが、
何よりも良い子育てにつながっていくと、私は強く思います。

古賀 大之

空手道師範として17年間、武道を通じて青少年の育成に携わってきました。
その経験をもとに、学校教育では得られない新しい学びの形を探求しています。
武道で培った教育の知恵を活かし、子どもたちの未来を切り拓くことが私のライフワークです。

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