2026年、新春。初詣は誰と、どこへ行きますか?
お正月になると、全国の神社は多くの参拝者でにぎわいます。
家族の健康を願う人。
会社や事業の発展を祈る人。
新しい一年を前向きに歩みたいと願う人。
想いはそれぞれでも、そこに集う人々は皆、その神社に祀られている神様へ手を合わせ、
「今年一年、良い年になりますように」と静かに祈りを捧げます。
日本には、数えきれないほどの神々が宿るとされる“八百万(やおよろず)の神様”という考え方があります。
佐賀県内だけでも、実に1,000を超える神社が存在しています。
では、あなたはご存じでしょうか。
自分の願いを祈るとき、どの神社の、どの神様に手を合わせるべきなのか。
そして、初詣という行為に込められた、本当の意味を考えたことはありますか?
今回は、新しい年の始まりに多くの人が行う「初詣」という習慣にスポットを当て、
その由来や、本来の参拝の仕方、そして“心の拠りどころとしての神様”について、少し深く触れていきたいと思います。

神仏が共存する文化の日本
● 天孫降臨 ― 日本の国づくりの始まり
天照大御神が、その孫である 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと) に国を治めるよう命じ、
天から地上へと降り立った――これが「天孫降臨」です。
ここから日本という国の物語が始まり、やがて初代天皇につながっていくとされています。
古来の日本神話には、神と人が共に生きる世界観 が描かれ、
神々の存在はいつも人々の暮らしのすぐそばにありました。

● 仏教の伝来 ― 神と仏が共にある文化の始まり
聖徳太子が、お釈迦様の教えを積極的に取り入れたことが、
日本における仏教の本格的な始まりといわれています。
それ以前の日本には神道しかなく、人々は自然とともにある八百万の神を敬ってきました。
しかし仏教が広まるにつれ、神と仏が同時に存在するという新たな文化 が芽生えていきます。
● 世界でも珍しい「神道 × 仏教」共存の国、日本
日本の多くの人は、自然とこの二つの信仰を使い分けています。
- 先祖供養やお盆・お彼岸は「お寺」へ。
- 七五三や初詣は「神社」へ。
- 家の中には神棚と仏壇の両方がある――そんな家庭も珍しくありません。
世界を見渡すと、
一神教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)同士は共存が難しく、
互いの儀式を行うことはほぼありません。
それに対して日本では、二つの宗教が混ざり合いながらも、
見事に調和し、文化として根づいています。
● なぜ日本では共存できたのか?
それは、神道と仏教がそもそも “役割の違う” 宗教だからです。
- 神道 … 生まれた土地を守る八百万の神を敬う
- 仏教 … 死や苦しみからの救いを説く教え
この二つが、競い合うのではなく、
人々の心の中で自然に“住み分け”をしている からこそ成立しました。
● 調和を大切にする日本人の宗教観
神社で初詣をし、お寺で先祖を想い、
神棚にも仏壇にも手を合わせる。
これはまさに、
日本人の「調和の宗教観」が形になった文化的行為
と言えるでしょう。
氏神様とは
その昔、ある土地を治める「氏(うじ)」が、
その地域を守る八百万の神を祀ったことが、氏神(うじがみ) の始まりといわれています。
のちに、その土地に暮らす人々を「氏子(うじこ)」として迎え入れることで、
現在のような“地域ごとの氏神”という形が生まれました。
氏神は地域ごとに区切られ、その範囲に住む人々を氏子と呼びます。
そして神社は、これら氏子によって守られ、支えられてきました。
昔は、神社が所有する畑を氏子が耕し、
そこで収穫された作物で祭事を行うことも多くありました。
現在でも、神社には「総代」が置かれ、地域の氏子によって営みが続けられています。
私が小さいころ、近所の神社では子ども神輿の催しが行われ、
佐賀市の松原神社は「日峯(にっぽう)さん」と呼ばれ親しまれていました。
春と秋の【日峯さん祭り】には多くの出店が並び、
子どもたちであふれるほどの賑わいがあったものです。
しかし今では、地域の神社に足を運ぶ人も少なくなり、
日峯さん祭りも以前ほどのにぎわいを見せなくなりました。
かつて人々の心のすぐそばにあった神社が、徐々に遠い存在になりつつあるのかもしれません。
また氏子の高齢化や担い手不足により、
地域の神社運営に苦慮しているという現状も聞かれます。
中には、自分の氏神を知らないまま別の神社にお参りしている人もいるようです。
そのため、神社側が地域を見回ったり、祭事のチラシを配布するなど、
「ここがあなたの氏神ですよ」と知らせる取り組みも行われています。
そこで初めて、自分の地域を守る神様がどこにいらっしゃるのか気づく人も多いのだそうです。

今回、お話を伺ったのは、日枝神社の宮司の日吉 高明さん。
現在は日枝神社と鎮西西宮社の宮司を務められています。
あなたの地域の神社を知らるならこちらから
初詣はどこにお参りに行けば?三社参りって?
あなたの地域の氏神様がわかったら、まずはその神社へお参りしてみてはいかがでしょうか。
あなたが暮らす土地を守ってくださる神様に、
一年の感謝と、新しい年を迎えたご挨拶 を捧げることは、とても自然で美しい行いです。
とはいえ、日本には八百万の神様がいて、
人々の心の中にさまざまな形で寄り添ってくださる存在です。
ですから、「初詣は必ずここへ行かなければならない」 という決まりはありません。
● 佐賀の代表的な神社と祈願の意味
佐嘉神社
佐賀を近代化へ導いた鍋島直正公を祀る神社。
仕事運・学業成就・挑戦の成功 を祈願する人に人気です。
伊勢神社
天照大御神を祀り、
光・浄化・新しい始まり を象徴する神社。
一年のスタートにふさわしい場所です。
與賀(与賀)神社
えびす神社として有名な與賀(与賀)神社は、佐賀城を守るために建てられ、それが故に西を向いている珍しい神社。
水の神・與止日女命を祀り、
家内安全・健康・地域守護 の願いを込める人に親しまれています。
祐徳稲荷神社
祐徳稲荷神社は、日本三大稲荷のひとつに数えられる佐賀を代表する神社です。
倉稲魂大神を祀り、商売繁盛・金運・家内安全のご利益で知られています。
舞台造りの社殿や鮮やかな朱塗りの景観は“鎮西日光”とも呼ばれ、
初詣には県内外から多くの参拝者が訪れます。

● 三社参り・五社参りとは?
九州では、初詣に複数の神社を巡る
「三社参り」 や 「五社参り」 の文化があります。
神道では七五三のように“奇数”が縁起が良いとされていて、
一般的には、
- 氏神様
- 地域を代表する神社
- 自分の願いに合う神様を祀る神社
この三つをお参りするのがひとつの型とされています。
また、恵方参り といって、
その年の吉方位にある神社へ参拝する習慣もあります。
九州では、受験生が太宰府天満宮へ合格祈願に訪れることもよく知られた風景ですね。
● 結局、初詣はどこに行くべき?
結論はとてもシンプルです。
どこにお参りしても、まったく問題ありません。
ただし大切なのは、
その神社にどのような神様が祀られているのかを知ったうえで参拝すること。
神様の役割や由来を理解してお参りすると、
祈りの深さや意味がぐっと変わってくるのです。
まとめ
今回の記事では、改めて 日本の神道という文化 に触れてみました。
神道と仏教が共存するという、日本ならではの柔らかな宗教観。
どちらも、私たちの心を支え、寄り添ってくれる大切な拠りどころです。
私たちは一年のうちに、どれほど神社の鳥居をくぐっているでしょうか。
新年、初詣でにぎわう神社の姿こそ、本来あるべき姿なのかもしれません。
神社では今も昔も変わらず、季節ごとにさまざまな行事が執り行われています。
新年を迎える行事もそのひとつ。
私たちはもっと神社の祭りごとに関心を向けてもいいのではないでしょうか。
それらはすべて、神様との距離をそっと近づけてくれる機会だからです。
神様は、誰の心の中にもいて、
とても身近なところにいらっしゃる存在です。
古来、人々の不安や願いのそばには、いつも神が寄り添ってきました。
新しい年も、八百万の神様のお導きに守られながら、
それぞれが良い一年を歩んでいけることを願っています。
この記事を読んでくださったことがきっかけとなり、
今年の初詣がこれまで以上に意味深く、
そして一年を明るく始めるための第一歩となれば幸いです。
そして何より──
皆さまの心の中にいる“神様”との距離が、ほんの少しでも近づきますように。
そんな願いを込めて、この記事を締めくくりたいと思います。

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