新聞やテレビでは、「日本の借金は過去最大」「国民一人あたり○○万円の負担」という言葉が繰り返されます。
しかし、もしあなたの会社が負債しか公表せず、資産を隠しているとしたらどうでしょうか。当然、その企業の財務状態は正しく判断できません。
実は、日本の財政も同じです。
本来は“バランスシート”──資産と負債の両方を見て評価すべきものなのに、議論の多くは「借金の額」だけに焦点が当たっています。
そこで本記事では、日本をひとつの“企業”とみなし、貸借対照表の視点で、日本経済をゼロから読み解いていきます。
負債だけを見ていては分からない、日本の実力と課題の本質を見ていきましょう。
1.なぜ“負債だけ”では日本は語れないのか
あなたは「借り入れがあるからすぐに倒産する!!」と負債だけを見てそのような判断をされますか?
新聞やテレビでは「政府債務が過去最大」という見出しが繰り返されます。しかし、負債だけ取り上げて資産に触れないと、企業決算で負債だけを見て“倒産寸前”と判断するようなものです。
日本の財政・経済を**貸借対照表(B/S)でとらえ直すと、日本の本当の課題と強みの“立体像”が見えてきます。
内閣府や財務省、日銀などの一次統計は、資産・負債の双方を公開しています。この記事はそれらに基づいて、日本の実像を丁寧にほどきます。

ニュースや報道は正しいのか?偏っているのか?しっかりデータをもとに見てみましょう!
2.そもそもBS(バランスシート)とは何?
BS(バランスシート)とは、主に企業などで「財産」と「借金」と「純資産」を一覧で見える化した表のことです。
現金や預金、不動産などの資産、借り入れや未払請求書などの負債、資産ー負債=純資産と考えます。
BSを見ることで、会社の安全性や借金への依存度、経営体質などを把握することができます。

BSを正しく読み取ることで見えてくる世界があります!
3.日本の財務状況
①政府の財務、②民間の家計、③日本企業全体の財務、④対外国との関係などで見ることで本当の日本が見えてきます。
①政府の財務
●資産(金融資産)
- 909 兆円
・証券:365 兆円
・その他:524 兆円
・財政融資・預託金:20 兆円
●負債(金融負債)
- 1,400 兆円
・証券(国債等):1,191 兆円
・借入:144 兆円
・その他:65 兆円
●純資産(資産-負債)
▲491 兆円(純負債)
テレビなど報道の通りに、国債を中心に大きな債務超過の構造が続いている状況です。

テレビで報道されているのはここまでで、このような負債を抱えているため「税金を上げないと」と政府は言っている状況です!
②民間の家計
●資産(金融資産)
- 2,286 兆円
・現金・預金:1,122 兆円
・証券:503 兆円
・保険・年金:575 兆円
・その他:86 兆円
●負債(金融負債)
- 402 兆円
・借入:385 兆円(主に住宅ローン)
・その他:16 兆円
●純資産(資産-負債)
+1,884 兆円(純資産)
日本の家計は世界的にも突出した純金融資産大国となっており、かなりの純資産を抱えています。

資産が多いだけでなく、借り入れの大半が住宅ローンである点も優秀と言えます!
③日本企業全体の財務
●資産(金融資産)
- 1,584 兆円
・現金・預金:356 兆円
・証券:528 兆円
・その他:700 兆円(対外直接投資など含む)
●負債(金融負債)
- 2,364 兆円
・証券(株式等・債務証券):1,535 兆円
・借入:555 兆円
・その他:274 兆円
●純資産(資産-負債)
▲780 兆円(純負債)

資金循環統計上、企業の「株式(時価評価)」が負債側に計上されるため、大きな純負債となるのが特徴です。
④対外国との関係
●海外への負債(日本の資産)
1,717 兆円
・証券:891 兆円
・借入:236 兆円
・その他:590 兆円
●海外への資産(日本の負債)
1,184 兆円
・証券:656 兆円
・貸出:323 兆円
・その他:205 兆円
● 日本の対外純資産(=海外負債 − 海外資産)
+533 兆円(日本の純対外資産)
日本は世界最大級の純対外資産国であり、経常黒字の大部分を第一次所得収支(海外投資収益)が占める構造であり、より優秀な財務状況と言えます。
まとめ
| 部門 | 資産(兆円) | 負債(兆円) | 純資産(兆円) |
|---|---|---|---|
| 政府 | 909 | 1,400 | ▲491 |
| 家計 | 2,286 | 402 | +1,884 |
| 企業 | 1,584 | 2,364 | ▲780 |
| 海外(対外純資産) | 1,717(対外資産) | 1,184(対外負債) | +533 |
家計と企業に資金が余っているにもかかわらず、
- 家計は消費より貯蓄
- 企業は国内投資より海外投資
という行動を続けています。
その結果、政府だけが大規模に借り続ける構造(政府赤字の固定化)が発生し、『経済全体の循環が弱い“静的な経済”』になっていると評価できます。
また、政府の財務は明らかに重い負担ですが、日本は海外に巨額の資産(1,717兆円)を持つ純債権国であり、対外収益(第一次所得収支)が国を支える構造になっています。
つまり、
「国内は弱いが、海外収益で国が支えられている」という珍しい財務構造です。

今の日本は「家計は豊か、政府は借金漬け、企業は守りに入り、海外が収益源の国」と評価しています
今後の日本に必要なことは
日本政府は日本の財務改善には「増税が必要」とよく言いますが、日本の財政問題を解決する方法は「税金を上げることだけ」ではありません。
私が考える日本の進む先は、
① 成長率を上げて税収を自然に増やす
② 歳出改革(支出の見直し)
③ 企業の内部留保を国内投資に向かわせる
④ 労働力人口の拡大(社会的構造改革)
それぞれの解説と対応策についても考えてみました。
①については、財政を改善する最も効果の大きい方法として、名目GDPを伸ばして税収を自然に増やすことです。
➡ 国内投資を促す政策(規制緩和、人材投資、デジタル化、移民政策など)により成長率を押し上げる必要がある。
②については、歳出の約3分の1は社会保障となっており、団塊世代が75歳以上に入り、社会保障費の構造的な増加が政府赤字の最大要因と報告書でも指摘されています。
- 医療・介護保険の給付と負担のバランス調整
- 高齢者の自己負担見直し
- 公共事業や補助金の効率化
➡ 支出改革は痛みが伴いますが、税率だけで赤字を埋めようとするより持続性が高い。
③については、資金循環です。
*部門が長期にわたって資金余剰(=使い切れない資金を持つ状態)であると指摘されています。
- 規制緩和で新規産業を育成
- 研究開発、設備投資への税制優遇
- 労働市場改革(柔軟性や人材マッチング改善)
➡ 企業が国内投資を増やすことで雇用が増えて、賃金も上昇、それに伴い消費増に繋がります。
④については、報告書では、高齢化により労働供給の量的拡大には限界があることが指摘されています。
つまり、今後は
- 女性のキャリア継続支援
- 高齢者の柔軟な就労
- 外国人労働者の活用
- 生産性向上(AI・DX)が不可欠。
➡ 労働参加が増えれば税収が増え、社会保障費の増加も抑えられる。
政府債務の悪化は「家計の巨額貯蓄」「企業の投資不足」「少子高齢化」「国内経済の停滞」といった構造的問題の結果であり、税率調整だけでは根本的な解決にならないというのが経済学的な考え方であり、私個人的な感想でもあります。


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